終了レポート

「海の宝アカデミックコンテスト2023 全国大会 -海と日本PROJECT-」

日 程 :
11月4日(土)10:00~16:00
開催場所:
北海道大学大学院水産科学研究院
参加者数:
書類コンテスト・頂上コンテスト参加総数 672名
主 催 :
北海道大学大学院水産科学研究院
目 的 :
「海」への知的好奇心を持った心豊かな若者を育成するため、全国の中学・高校生を対象とし、「海」の素晴らしさを実感・体験できる教育システムを端緒として、それぞれが「海の宝」を探し、自発的に「海」を語り活動する機会に中高生を導く。

イベント内容

 日本財団「海と日本PROJECT」の一環として、北海道大学大学院水産科学研究院が主催するイベントです。

 「あなたにとって海の宝はなんですか?」

 本来この地球上で生息する生物にとって、海そのものが宝です。ただ残念なことにそのことに気づかず、関心すら持とうとしない若者が増えていました。将来を担う若者に、環境問題に大きな役割を果たす海に少しでも興味を持ってもらいたい、そんな思いから「海の宝アカデミックコンテスト」は生まれました。2016年の年です。

 全国の中高生に「あなたにとって海の宝はなんですか?」と問いかけ、その答えを8枚の電子紙芝居(スライド)にして、マリン・サイエンス部門かマリン・カルチャー部門どちらかを選択し、書類コンテストに応募してもらいます。

2023年応募作品一部

<マリン・サイエンス部門>

「波浪観測値を音程変換して創造した海洋音楽に含まれる1/fゆらぎ現象の検証-自らのヴァイオリン二重奏で奏でる海洋音楽の癒し効果-」学校法人成田山教育財団 成田高等学校

<マリンカルチャー部門>

「うみぼうずのおもてなし」北海道函館中部高等学校

 応募された作品は、地域別4ブロックに分けて専門家が審査を実施し、各ブロックで最優秀賞を獲得したチームが、更なる頂上コンテストに進出することができます。

 頂上コンテストでは、北海道大学大学院水産科学研究院のある函館の地(学生2名までと保護者もしくは引率者1名をご招待)で、5分間のプレゼンテーションと3分間の質疑応答が審査対象となり、全国一を競います。

 8回目となる今年は過去最多応募件数の昨年と大差のない273件の応募があり、厳正なる審査の結果、「ブロック最優秀賞」10作品が頂上コンテストに進出しました。頂上コンテストを惜しくも逃しましたが、「ブロック優秀賞」7作品、「ブロック奨励賞」37作品が選出表彰されました。

 2023年11月4日(土)頂上コンテストがいよいよ開幕です。

 発表作品での「海の宝」の焦点は、どの作品をとっても高度なものに感心させられました。そしてもうひとつ驚かされたことは、発表者の皆様のプレゼン能力の高さです。大勢の審査員の前で堂々と自分たちの作品をアピールしていました。

 作品をひとつずつ丁寧に審査する審査員方は、質疑応答にも力が入ります。

 すべての発表が終わり、お昼ごはんをはさんで結果発表です。厳選なる審査の結果、「海の宝アカデミックコンテスト2023 全国大会 -海と日本PROJECT-」各部門の大賞には以下の二人が選ばれました。

マリン・カルチャー部門 海の宝大賞
「海なし県の未利用魚活用」
作新学院高等学校 魚類・水生生物探究チーム

【受賞者の声】

「関東・中部ブロックの数ある作品の中から海なし県である僕たちの作品が選ばれたことに、驚きと嬉しさを感じました。大会を通じて、多くの方に『未利用魚』について情報発信することができたこと、そして様々な学校の方との交流できたことは、これからの活動への大きな一歩となり、とても良い経験をさせていただきました。これからも魚への愛、県民愛そして海への愛を大切に活動していきます。今回は本当にありがとうございました。」

マリン・サイエンス部門 海の宝大賞
「アマモ醤油~ジャマモと呼ばれた海草の可能性~」
平岩恋季(岡山学芸館高等学校)

【受賞者の声】

「海に関する様々な角度での研究を直接聞ける貴重な機会でした。特に同じ食に関する発表者とは意見交換をしたり、新たな視点をもらうことができました。審査員の方からいただいたアドバイスのうち『アマモの種を採取・活用による生態系への影響を考えてみては』という点はテーマの1つとして研究を継続してまいります。アマモ醤油の商品化を目指し、改良や広報活動などの活動を行なっていきたいです。本当にありがとうございました。」

 大賞に輝いた2組の他、ユニークなタイトルの賞も選出されました。また、頂上コンテスト進出作品の中から特別賞として、「日本財団賞」「日本海洋科学振興財団オーシャン・アート賞」「千葉市科学館賞」「海文堂出版・北水ブックス賞」「マリンイノベーション特別賞」「医食同源賞」「道南伝統食品協同組合賞」「函館の魚『イカ』賞」「北海道大学水産学部賞」が選出され表彰されました。

 

コンテスト終了後の受賞者皆様からの喜びの声を一部抜粋したものを掲載します。

*後日「海の宝」で全文掲載し、マリン・ラーニングHPにもUPします。

  • 「海のめぐみの尊さや故郷で育まれた優れた文化について知識を深めることが出来ました。」
  • 「この経験をもとに、これからも自分なりの視点・表現を追求していきたいです。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。」
  • 「本コンテストのような海や環境について考える機会を大切にし、積極的に参加していきたいです!」
  • 「これからもこの海のかけがえのない美しさを守れるように強くなっていきたいと思います。」
  • 「津軽海峡・太平洋・噴火湾という3つの海を臨む函館で発表の場を頂けたという素晴らしい経験を糧に、自らの人生を探究していきたいです。」
  • 「これからも、海の環境を守るために研究を続けていきたいと思います。」
  • 「ほかの学校の引き込まれるような発表に触れることができとても勉強になりました。」
  • 「今回の大会を通じてこれからも研究を続け、海を保全するために活動をしていきたいと思います。」

 海の宝アカデミックコンテストは、2023年をもって終了いたします。

 頂上コンテストの作品、プレゼン、受賞者の声に耳を傾けたとき、今を生きる若者たちの純粋さ、発想の素晴らしさ、そして何より未来を変えようとする力に心震えました。

 8年間続いたこのプロジェクトにより、多くの若者が海に興味を持ち、自分たちの未来へ歩き出す姿に、わたしたち大人も大きな勇気をもらえたのではないでしょうか。

 「海の宝に気づいてほしい」から始まったこのプロジェクトは、最後に素晴らしい宝物を見つけることができました。感謝しかありません。8年間本当にありがとうございました。

 またいつかお会いできる日を楽しみに。

「あなたにとって海の宝はなんですか?」

(伊藤晴留美)

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