コンテスト

海の宝アカデミックコンテスト2018 結果発表

 「海の宝アカデミックコンテスト2018」の最終審査が、11月10日(土)に北海道大学大学院水産科学研究院大講義室(函館市港町3-1-1)で開催されました。最終審査では、一次審査を通過した16作品のプレゼンテーションが行われました。審査員による厳正な審査の結果、以下に受賞作品をご紹介いたします。

 また、「ギャラリー」では「海の宝アカデミックコンテスト2018」の様子を掲載しておりますので、是非ご覧ください。

マリン・カルチャー部門
海の宝大賞(最優秀賞) メキシコで見た海の宝 谷本 幸璃(市立札幌開成中等教育学校)
メキシコで見た海の宝 谷本 幸璃(市立札幌開成中等教育学校) 今年の夏、私はウミガメの殆どの種が絶滅危惧種であることを知り、日本から飛行機で15時間のメキシコのクユトランへウミガメの保護活動に行ってきました。そして2週間の保護活動を通し、そこで見たもの、感じたこと、考えたことを多くの人に伝えたいと思い、この作品を作りました。この作品が、ウミガメだけでなく全ての海の宝を守るために自分に何ができるのかを考えるきっかけになると嬉しいです。
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おとひめ賞(優秀賞) 転生したら水海月だった件について 佐藤 日織栞(神戸市立六甲アイランド高等学校)
転生したら水海月だった件について 佐藤 日織栞(神戸市立六甲アイランド高等学校) 海を優雅に漂う生物、クラゲ。水族館で見たことがあるという人は多いと思いますが、その生態を知っている人は少ないのではないでしょうか。クラゲは知れば知るほど魅力的な生物です。そんなクラゲに親しみを持ってもらえるよう、様々なクラゲを擬人化し一つの物語を作りました。コンセプトは「子供から大人までが訪れる水族館のクラゲ水槽の隣に置きたいパンフレット」です。さあ、あなたも水海月と一緒に海を漂ってみましょう!
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うみがめ賞(奨励賞) 磯のトラブルを解決せよ!~奥高生発!地元漁業を守るための提案~ 北海道奥尻高等学校
磯のトラブルを解決せよ!~奥高生発!地元漁業を守るための提案~ 北海道奥尻高等学校 私たちは、奥高生の力で磯焼けを解決して漁師の方を助けたいという気持ちから実験に取り組み、ウニと海藻を共存させるための方法を考えました。実際にいくつかの海藻を与えてウニを飼育する実験を行い、ウニが好んで食べる海藻と苦手な海藻をつきとめました。
 海藻の数を増やすために今回見つけたウニの苦手な海藻を計画的・戦略的に植えて管理し、藻場の豊かさを回復させる方法を提案します。
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うみがめ賞(奨励賞) ウミホタルのアレコレ!?~ウミホタルの知られざる秘密!!~ 岡山学芸館高等学校
ウミホタルのアレコレ!?~ウミホタルの知られざる秘密!!~ 岡山学芸館高等学校 ウミホタルについて、詳しく知る人は少ない。私たちは海洋学習でウミホタルの採集・実験を行った。そこでウミホタルの発光原理はホタルと同じであることを知った。ウミホタルは第二次世界大戦の際、軍隊でも重宝されていた。ウミホタルの人気スポットの分布は地形と深く関係があるかもしれない。ウミホタルの酵素はがん細胞の発見にも貢献している。このように、ウミホタルは海に対する興味関心を引き出す海の宝である。
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うみがめ賞(奨励賞) かまぼこ その魅力に迫る。 大阪府立生野高等学校 写真部
かまぼこ その魅力に迫る。 大阪府立生野高等学校 写真部 僕たちが今回取り上げたのは、かまぼこです。この作品は、最初に、かまぼこの起源や歴史、次にかまぼこの材料として使われている魚、最後に、面白いかまぼこや健康食品としての側面を調べて、8枚にまとめました。長い間、海とともに生活してきた日本人だからこそ、作ることができたかまぼこ。これからもたくさんの可能性を秘めているかまぼこの魅力についてお伝えします。
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くろしお賞 カブトガニ 人類を救う 静岡県立焼津水産高等学校
カブトガニ 人類を救う 静岡県立焼津水産高等学校 私たちはカブトガニの血液に注目しました。カブトガニには人を救う力があるということがわかりました。またどのくらいの数が血液を取られてしまっているかも知ることができました。ほとんどのカブトガニは血液をとられた後死んでしまいます。人類を優先するばかりに、貴重な命が失われることを私たちは考えなければならないと思いました。
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くろしお賞 214年目の希望 兵庫県立尼崎小田高等学校
214年目の希望 兵庫県立尼崎小田高等学校 私たちの考える「海の宝」は人々の思いと地域の海産物・特産物を詰め込んだ「缶詰」です。缶詰が誕生してから今年で214年がたちます。缶詰は保存食から高級食まで様々な食べ方があります。缶詰の歴史を調べていくと缶詰の誕生は、細菌学の歴史を・・・・・。缶詰は、東日本大震災でも救援物資が届くまでの食料として人々の希望となりました。これからも続く小さな缶の214年目の希望の物語です。
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くろしお賞 石狩川の主 栃木県立馬頭高等学校
石狩川の主 栃木県立馬頭高等学校 石狩川の主、チョウザメ。神様として祀られ、鮭の豊漁をもたらし漁師の安全を守ってきました。石狩地方で大切に守られてきたチョウザメでしたが、乱獲や河川環境の悪化により、今では姿を消してしまいました。蝦夷地で生まれた特有の文化は、絶滅した今でも大切に語り継がれています。文化だけではなく、限りある資源をいかに守り、後世に伝えていくのか、石狩川の主をきっかけに考えていければと思います。
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マリン・サイエンス部門
海の宝大賞(最優秀賞) ユーグレナと二枚貝による廃しょうゆの処理について 尾崎 光平(福岡工業大学附属城東高等学校)
ユーグレナと二枚貝による廃しょうゆの処理について 尾崎 光平(福岡工業大学附属城東高等学校) 地域の食文化の担い手である醤油製造業を守るため、ユーグレナと二枚貝でしょうゆを安く処理をすることを目的とした。しょうゆ150倍希釈液で培養したユーグレナ(以下A)で緑の濃さとユーグレナ数は比例していることが分かった。次に、アサリとシジミに餌としてAを与えると食べた。さらに、Aは耐塩性が高くなっていた。実際にAとアサリで浄化をすると茶褐色が3分の1になった。そして、消費水量を減らせた。
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りゅうぐうのつかい賞(優秀賞) 今治市の海岸に生息する貝類の寄生虫に関する研究 愛媛県立今治西高等学校
今治市の海岸に生息する貝類の寄生虫に関する研究 愛媛県立今治西高等学校 海岸生物の寄生虫について調査した。貝類ではイシダタミから吸虫とヒラムシ、パテイラからヒラムシの寄生を見つけた。カニとヤドカリを調査したところ、カニの脳から線虫、ヤドカリから吸虫以外の寄生虫を見つけた。従って、吸虫の二次宿主は甲殻類ではなく魚類ではないかと推定された。カイヤドリヒラムシは古腹足類の成分に誘引され、負の光走性がある。海岸生物における寄生虫の生活環を確認し、養殖にも有用な研究にしたい。
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ちょうちんあんこう賞(奨励賞) 鯖街道のばせ 国際宇宙ステーションへ 福井県立若狭高等学校
鯖街道のばせ 国際宇宙ステーションへ 福井県立若狭高等学校 私たちは地元の鯖で鯖缶を作り、宇宙に飛ばそうとしています。一度作った鯖缶は粘度不足と言われくずを入れて作り直しました。しかし今度は味が薄いと言われ、現在四段階で水と醤油の比率を変えて味を濃くするための実験をしています。私たちが作ったこの鯖缶を宇宙飛行士の方においしく食べてもらえるような鯖缶を作ります。
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ちょうちんあんこう賞(奨励賞) 瀬戸内海の島嶼部の漂着ごみ問題に目を向けて 山陽女子高等学校 地歴部
瀬戸内海の島嶼部の漂着ごみ問題に目を向けて 山陽女子高等学校 地歴部 私たち地歴部は瀬戸内海の海底ごみ問題の解決に向けて、回収と啓発に10年以上取り組んでいます。この活動から見えてきたことは、ごみの起点(廃棄者)と終点(海底ごみ・マイクロプラスチック・島嶼部への漂着ごみ)の関係です。問題の解決には、ごみの発生抑制は重要ですが、私たちは香川県の手島を舞台にして、生活の島であり過疎化・高齢化が進む島が抱える漂着ごみ問題の解決に向けて、地域協働での取り組みを実施しています。
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ちょうちんあんこう賞(奨励賞) 二年前の私たちへ 海の宝、みつけたよ 遺愛女子中学校
二年前の私たちへ 海の宝、みつけたよ 遺愛女子中学校 2年前、私たちは「海の宝」アカデミックコンテストに初めて応募しました。そのときは大森浜でみつけたたくさんの不思議を紹介しましたが、その後2年間、下級生とともにふしぎの答えを探す活動をしてきました。そして石ころのふるさとや、なぜ浜から石ころが消えるのかなど、不思議の答えを見つけました。私たちが見つけた答えを紹介したいと思います。
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おやしお賞 養殖マサバに寄生するアニサキス~安全に食べるために~ 福井県立若狭高等学校
養殖マサバに寄生するアニサキス~安全に食べるために~ 福井県立若狭高等学校 私達は、「人工種苗の鯖と天然種苗の鯖でのアニサキスの感染ルートや、アニサキス自体を知る」以上の内容の活動を行い、天然種苗のみ感染しているという結果を得た。次回は、日本海側と太平洋側とでの感染度合について調べていく予定である。そして、最終的に「日本海側のアニサキスは鯖の筋肉への移行率は極めて低い」事を証明し、多くの人々に「鯖でも刺身で食べられる」事を理解してもらいたいと心底願っている。
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おやしお賞 二枚貝の小さな宝 栃木県立馬頭高等学校 水産科学研究部
二枚貝の小さな宝 栃木県立馬頭高等学校 水産科学研究部 私たちは今回、海産二枚貝類から得られる乳酸菌の研究についてまとめた。今まで、陸上や淡水資源の様々な資源から乳酸菌が分離されてきたが、海産資源からの分離は数少ない。しかし、2014年に糸井らがチョウセンハマグリから分離したことをヒントに、同じ食性のタイラギおよびマガキから分離を試みた。その結果、タイラギから3属7種、マガキから2属5種の乳酸菌が分離され、乳酸菌は分離可能であることが示唆された。
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おやしお賞 三河湾の環境調査 Part.5 これからの三河湾を考える 愛知県立時習館高等学校SSH生物部
三河湾の環境調査 Part.5 これからの三河湾を考える 愛知県立時習館高等学校SSH生物部 近年、三河湾では赤潮、苦潮、魚介類の大量死などの問題が起こっている。私たちは、故郷の海はきれいであってほしいと思い、その現状を知るため、水質・底質の定点調査を継続してきた。その結果、夏の三河湾では貧酸素水塊や硫化物の堆積がみられ、湾奥ほど深刻であった。
 これは三河湾の閉鎖的な地形、赤潮、河川水による栄養塩類の流入が関係している。私たちの学校の、11年間にわたる三河湾の環境調査について紹介する。
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海の宝アカデミックコンテスト2018
審査総評

審査員代表
海の宝をめぐる学びと体験 マリン・ラーニング(海と日本2018)
プログラム代表 安井 肇

 皆様、今日は非常に素晴らしい作品のプレゼンテーションをしていただきました。頂上決戦ということで、高いレベルの発表でした。それぞれ個性もよく出ていたと思います。

 本州各地、四国、九州、北海道と全国から集まっていただき、海の宝とその魅力を存分に発表され、印象深いものばかりです。年々内容が深く、濃く、レベルもさらに上がっております。

 カルチャー部門では、歴史と文化、ストーリーをいろいろ大事にされて、現代社会に海からの提言をなされています。サイエンス部門では、各研究が実際にしっかり行われ、そこから実験・実証された結論を提言されました。オリジナリティーが高い作品が多かったと思われます。若い皆さんが社会に向かって力強い提言をしたという部分は、未来に向かって歩む人々に海の力、新たな可能性が示されました。

 各賞を受賞された皆様、おめでとうございます。マリン・カルチャー部門はあたたかい海から宝を運ぶ黒潮、くろしお賞が3件、うみがめ賞3件、おとひめ賞が優秀賞で1件、海の宝大賞が最優勝賞で1件です。マリン・サイエンス部門の方は、豊かな生物資源を生み出す寒流の親潮、おやしお賞が3件、ちょうちんあんこうの奨励賞が3件、りゅうぐうのつかい賞の優秀賞が1件、海の宝大賞が1件となっております。

 両部門の海の宝大賞は、発表に勢いがあり、オリジナリティーに溢れて特に素晴らしかった。副賞の北大おしょろ丸カレーはごく最近できたものです。北太平洋の水深5000mのポイントでおしょろ丸によって採取された貴重な深層水がカレーに使われています。一方、賞旗の絵は、北大マリン・ラーニング関係者で考案した絵柄になっております。特に、濃い色の賞旗は、広島の呉市で大漁旗を製作している名人が、このコンテスト専用に染めていただいたものです。世界でこれしかないものでございます。本格的な技術を使って作ったもので、トロフィーのようなものです。学校に戻られたら是非多くの人が見やすい場所に飾って下さい。

 以上、今日はすべてが非常に充実した印象深い発表であったと思います。皆様がこの発表をベースに、これからいろいろなところで自らの夢を持ってご活躍されることを願っております。海水成分は人間の生命、体にとって大事な要素を含んでいるといわれます。もし元気がなくなっても海の成分をうまく取り入れれば体は回復してくるでしょう。同じように、海は人間の心にも元気を与えます。皆様、海からの発想を様々に発揮して、それぞれの大海原を今後も伸びやかに泳ぎ回られることを期待しております。以上、これを総評のことばに代えさせていただきます。本日はありがとうございました。

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