終了レポート

「大阪湾を知ろう!2023 ~海と日本PROJECT~」

日 程 :
2023年4月23日(日)、5月27日(土)、6月4日(日)、6月17日(土)、7月16日(日)、8月26日(土)
開催場所:
海遊館、南港野鳥園、淀川海老江干潟
参加者数:
159名
主 催 :
海遊館、NPO法人 南港ウェットランドグループ
共 催 :
北海道大学大学院水産科学研究院
目 的 :
海遊館とNPO法人 南港ウェットランドグループは、連携して地元の高等学校や中学校を対象として環境学習の支援を行っており、その一環として「大阪湾」をテーマにした取り組みを行っている。体験を通して、大阪湾の自然環境や人間活動が環境に与える影響を知ってもらうことをねらいとしている。

イベント内容

コロナ対応が5類に移行し、感染予防のための中止はなかったが、7月に予定していた石干見漁体験(2回目)は、熱中症の危険性を考慮し中止となった。6月17日の石干見イベントは大阪市漁協業同組合が主催し、アカテガニ放仔観察会は、NPO法人南港ウェットランドグループが主催となった。結果は下記の通りである。


1.春の干潟での渡り鳥の行動観察

実施日時 2023年4月23日(日)10:00~12:00
場所 南港野鳥園
参加者 大阪市立築港中学校 生徒5名 引率教員3名
私立大阪高等学校 生徒14名 引率教師1名
計23名
内容 春の渡り鳥シーズンの、野鳥園での渡り鳥の採餌行動や、昨年度作成した干潟のカキを使ったカキ堤防を利用している様子を観察所等から望遠鏡等を使って観察した。観察開始時は潮が高かったが、カキ堤防上にとまって休息するチュウシャクシギの群れが見られた。干潟が干出し始めると、ゴカイを器用に引っ張り出すメダイチドリやカキ礁でカニを捕まえるチュウシャクシギなどが観察され、南港野鳥園がシギ・チドリ類の大切な休息場や餌場となっていることを実際の観察から学ぶことができた。

展望塔からの観察

北観察所からの観察

カキ堤防の上で休息するシギの仲間のチュウシャクシギ


2.岸壁調査(1回目)

実施日時 2023年5月27日(土)10:00~12:00
場所 海遊館
参加者 大阪市立築港中学校  生徒10名 引率教員2名
大阪府立市岡高等学校 生徒5名 引率教員1名
私立大阪高等学校 生徒11名 引率教員1名
大阪市立八坂中学校 教員1名
計31名
内容 海遊館前の天保山西岸壁の水中に設置していたカゴを引き上げて、その中の付着生物や自由生活の動物を採取し種類を調べた。
結果、37種の動物を記録した。海遊館前の海は垂直護岸に囲まれた都会の港であり、汚濁して生物が少ない印象をもたれがちであるが、多様な生物が暮らしている事を生徒たちは認識し、興味をもったようである。

引き上げた付着カゴ

付着生物の採集

イッカククモガニ

カゴに入っていた魚類(メバルの仲間、アミメハギなど)


3.海岸生物調査

実施日時 2023年6月4日(日)10:00~12:00
場所 南港野鳥園
参加者 大阪市立築港中学校 生徒6名 引率教員2名
大阪府立市岡高等学校 生徒5名 引率教員1名
私立大阪高等学校 生徒7名 引率教員1名
計22名
内容 南港野鳥園の干潟に棲む生物の調査を行った。
干潮時の干潟に入り、カキ礁が広がっている箇所、砂泥地、岩場などで生物を採集した。
室内に戻り、採集した生物の同定を行った。カニ類が特に多く確認された。
参加した生徒たちは野鳥園の干潟がいろいろな生き物の棲み処になっていることを体感し、そのことが南港野鳥園の干潟にシギ・チドリ類をはじめとした多様な水鳥が集まってくることに繋がっていることも学習することができた。

干潟での生物採集

ケフサイソガニなど

室内での生物名同定作業


4.石干見作り&石干見漁体験

実施日時 2023年6月17日(土)9:30~12:00
場所 淀川海老江干潟
参加者 大阪市立築港中学校 生徒5名 引率教員2名
大阪市立八阪中学校 生徒5名 引率教員1名
私立大阪高等学校 生徒9名 引率教員1名
計23名
内容 石干見漁は、干潟やサンゴ礁などの浅場で行われる伝統漁法だが、現在は近代的な漁業にかわり、衰退している。大阪市漁業協同組合が中心となって、淀川河口で同漁法を再現し、河口の砂の流出防止や、浅場の造成により生き物の生息場所を増やす取り組みを行っている。
本プロジェクトへの参加は3年目となる。当日は、昨年組み上げた石干見を補強し、網を仕掛けて漁を行い石干見内の生物調査も行った。結果マハゼ138尾、スズキなど約141尾が入網した。また淀川に生息するヤマトシジミなども採集することができた。

石干見補強

捕獲したハゼ類

集合写真


5.干潟の保全作業

実施日時 2023年7月16日(日)18:00~20:00
場所 南港野鳥園
参加者 大阪市立築港中学校 生徒6名 引率教員2名
大阪府立市岡高校 生徒1名 引率教員1名
私立大阪高等学校 生徒8名 引率教員1名
計19名
内容 南港野鳥園の干潟は人工干潟のため、人の手で改善しながら、自然の回復力を後押しし、環境を保全することが欠かせない。近年干潟表層部の泥や有機物堆積層が流出し、シギ・チドリ類の餌となる生物の減少が危惧されている。今回は、その改善のため、①ネットに入れた園内の落葉樹の落ち葉の干潟への投入②昨年度までに設置した2か所のカキ堤防の補強および移設を行った。
これにより、表層の泥の流出を防ぎ、底生生物の生息環境を良くし、シギ・チドリ類などの水鳥が干潟での採餌範囲を広げる等の効果が期待される。
生徒たちは協力して落ち葉運びやバケツリレーでのカキ殻運び作業を行い、干潟の保全活動の大切さを学んだ。

野鳥園の干潟についての講義

落ち葉を入れたネットを投入

移設したカキ堤防

カキ堤防の移動作業


6.岸壁調査(2回目)

実施日時 2023年8月26日(土)10:00~12:00
場所 海遊館
参加者 大阪市立築港中学校 生徒3名 引率教員1名
大阪府立市岡高校 生徒5名 引率教員1名
私立大阪高等学校 生徒8名 引率教員1名
計19名
内容 海遊館前の天保山西岸壁のカゴの付着生物等の調査の2回目。夏は表層の海水温が高くなる影響で、底の溶存酸素が低くなるため、春に比べ付着生物の数も種類も少なかった。確認できた生物も貧酸素や汚濁に強い生物が多く、春との変化に生徒たちは驚いていた。
同じ場所でも水温や溶存酸素量などの環境の変化が、生きものに与える影響を体感し、問題になっている海水温上昇などについて、考えるきっかけとなった。

付着生物の採集

付着生物の採集

クモヒトデの仲間

ゴカイの仲間


7.アカテガニの放仔観察会

実施日時 2023年8月26日(土)18:00~20:00
場所 南港野鳥園
参加者 大阪市立築港中学校 生徒5名 引率教員2名
大阪府立市岡高校 生徒3名 引率教員1名
私立大阪高等学校 生徒10名 引率教員1名
合計22名
内容 南港野鳥園に棲息するアカテガニの夜の生態について観察を行った。
開始前から雨が強く降り出したため、波打ち際での放仔行動の観察は断念し、展望塔の周辺で観察を行った。
雨で湿度が高くなったことで多くのアカテガニやハマガニが活動し、木に登っている様子も見られた。
参加した生徒たちはたくさんのカニがいることに驚き、南港野鳥園が大阪市内で貴重なアカテガニの生息地になっていることを学んだ。

展望塔前でアカテガニを観察

木に登るアカテガニを観察

捕まえたカニの雌雄を確認

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