イベント内容
本事業を大学のホームページやチラシの配布、香川県高等学校生物教員への案内等を通じて告知した。その結果、 15名の参加者により事業を開催することになった。当日は、香川大学農学部ならびに大学院農学研究科の学生諸氏がティーチングアシスタントとして実習の補助にあたった。
本事業の内容は主に、体験航海と、講義・実習に分けることができる。
体験航海においては、香川大学の海洋環境研究グループが20年以上にわたりモニタリング調査を実施してきた志度湾(香川県さぬき市)において、香川大学瀬戸内圏研究センター所属の調査船カラヌスⅢを用いて海洋観測を実施した。具体的には、海水の水温・塩分の測定、プランクトン採集、海底泥の採取(採泥)、底生動物の観察を体験して貰った。プランクトン採集では、プランクトンネットを用いて、室内実習の際に検鏡するための植物プランクトン試料を実際に採集した。採泥では、KK式コアラ—を用いた柱状採泥を体験して貰い、堆積物の酸化層と還元層の様子を観察した。底生動物の観察においては、マクロベントス(体長<1 mm)を対象にして出現種等の確認を行った。
講義・実習は、マリンステーション内の実習室において実施した。はじめに、海洋生態系の成立の様子について講義し、我々が海から収奪する魚介類の多くが、食物連鎖の起点まで辿ると植物プランクトンを主体とする微細藻に依存していることを説いた。また、彼らが海洋環境の変化に応じて、出現量や出現種を敏感に変化させていることを紹介した。その後、志度湾において採取した試料を材料として、植物プランクトンならびに動物プランクトンの顕微鏡観察をおこなった。
参加した高校生は調査船での活動や講義・実習にいきいきとした表情で取り組んでいた。特に、調査船・カラヌスⅢでの海洋観測はなかなか体験できないことであり、貴重な経験となったようである。
(多田邦尚)