終了レポート

「海の宝アカデミックコンテスト2022 全国大会 -海と日本PROJECT-」

日 程 :
2022年11月5日(土)9時30分~16時
開催場所:
北海道大学函館キャンパス 講義棟大講義室
参加人数:
757名
主 催 :
北海道大学大学院水産科学研究院
目 的 :
「海」への知的好奇心を持った心豊かな若者を育成するため、全国の主に中学・高校生を対象とし、「海」の素晴らしさを実感・体験できる教育システムを端緒として、それぞれが「海の宝」を探し、自発的に「海」を学ぶ機会に中高生を導く。

イベント内容

 「海の宝アカデミックコンテスト」は、将来にわたって豊かな「海の宝」を引き継ぐために中高生の海への知的好奇心を育む目的で、日本財団「海と日本PROJECT」の一環として、北海道大学大学院水産科学院が2016年から開催しています。

 第7回目となる今年度のテーマは、「新しい日常で海の魅力を考えよう(海と日本2022)」でした。コロナ禍が継続する中ではありましたが、対面でのイベントを中心に、オンラインツールも使い、コンテストPRにつながる体験型イベントを多く実施することができました。

 なお、ホームページやSNSでの呼びかけはもちろん、全国の中学校・高校へのチラシ配布、水族館や科学館等にチラシ配布とポスター掲示を依頼するなど、コンテストを広く紹介し、関心を持ってもらえるよう努めました。

 コンテストの募集期間は7月1日から9月20日で、全国の中高生から、「マリン・カルチャー部門」と「マリン・サイエンス部門」あわせて284件の応募があり、過去最多の応募数となりました。応募作品は、個人での発表だけでなく、友人とグループを作って制作したもの、学校のクラブ活動での数年にわたる研究の成果を発表したものなど様々でした。テーマや表現方法もバラエティーに富み、中高生の発想力の豊かさや研究と制作に取り組む熱意を感じました。

 応募作品は、全国4ブロック(北海道・東北ブロック、関東・中部ブロック、近畿・中国ブロック、四国・九州・沖縄ブロック)に分け、まず書類審査を行い、11月5日に開催される頂上コンテスト(最終審査会)へ進出する12作品と、頂上コンテスト進出作品以外の応募作品の中からブロック優秀賞10作品、ブロック奨励賞36作品を選出しそれぞれ表彰されました。

 全国の参加者たちは、それぞれ写真やイラストで工夫をこらしプレゼンテーションを行いました。5分間の発表の後には3分間の質疑応答タイムがあり、審査員の方からは高度な質問が飛び交います。発表者は、難しいながらもそれぞれが考えを巡らせて質問に答えていました。

 休憩をはさんで午後からは結果発表、表彰式が行われました。厳選な審査の結果、「海の宝アカデミックコンテスト2022 全国大会 -海と日本PROJECT-」各部門の大賞には以下の2作品が選ばれました。

  「マリン・カルチャー部門 海の宝大賞 京都先端科学大学附属中学校 小高 恵真さん、藤原さくらさん」

 通常、動物の骨や皮から作られることが多い膠を、魚の骨や皮、鱗などの廃棄部分から抽出し、それを原料に天然物質だけの墨を作ることに挑戦し、最適な配合を導き出しました。環境や身体に配慮した昔ながらの材料に注目した点や、材料の調達には、地域の鮮魚店や銭湯に協力を仰ぐなど、SDGs的視点が高い評価を受けました。

【受賞者の声】
 今回初めてこのコンテストに参加することが出来てとても嬉しかったです。
 発表の時間は声が震えるくらい緊張していたので、名前を呼ばれ賞状を受け取ったときドッと安心しました。これから膠についての研究を続けていろんな人に伝えられるよう頑張っていきます。協力してくださった先生方、地域の方々コンテストの方々本当にありがとうございました。

  「マリン・サイエンス部門 海の宝大賞 山脇学園中学校 岡村 佳歩さん」

 岡村さんは自宅にある水槽でカクレクマノミやサンゴを飼育しています。餌を与えたり、水槽の掃除をする中で、人間が「海」を作り、維持するとしたら、どれぐらいのコストがかかるのか疑問に思い、具体的な金額を算出しました。日々の出来事から、壮大な「海」へ思いを巡らせる着眼点が高く評価されました。

【受賞者の声】
 コンテストに応募する時、私の研究は少し変わった内容だったので、場違いではないかと、とても心配でした。でも、海の素晴らしさが失われてきていること、この状況はいくらお金をかけても戻せなくなってしまうことを伝えたいと思い、思い切って応募することを決めました。その結果、海の宝大賞を頂くことができ、嬉しい気持ちでいっぱいです!このメッセージを少しでも多くの方に知っていただけると嬉しいです。末筆ですが、このコンテストに関わって下さった皆様に、心から感謝申し上げます。

 また、頂上コンテスト選出作品の中から特別賞として、「日本財団賞」「日本海洋科学振興財団オーシャン・アート賞」「千葉市科学館賞」「海文堂出版・北水ブックス賞」「マリンイノベーション特別賞」「医食同源賞」「道南伝統食品協同組合賞」「函館の魚『イカ』賞」「北海道大学水産学部賞」が選出され表彰されました。参加者からは、「審査員の方々から、ご専門のご意見をお聞きできとても参考になりました」や「このような場を継続されることのご苦労は想像を絶するものと思いますが、皆様の想いは、確実に中学生、高校生に届いており、小さいながらも着実に実を結んでいっているようです」などの感想を頂きました。

 表彰式のあとは、水槽センターや研究室を見学できるツアーが行われました。参加者は北大の学生の案内で学内を見学し、真剣な眼差しで学生の話を聞いていました。

 「海の宝アカデミックコンテスト2022 全国大会 -海と日本PROJECT-」頂上コンテストは海の未来を担う中高生と海洋関連の専門家が全国から集う盛大な大会となりました。

(渡辺望未、伊藤愛)

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