終了レポート

「海の宝アカデミックコンテスト2021 全国大会 -海と日本PROJECT-」

日 程 :
2021年11月6日(土)9時30分~15時
開催場所:
オンライン
参加者数:
844名
主 催 :
北海道大学大学院水産科学研究院
目 的 :
「海」への知的好奇心を持った心豊かな若者を育成するため、全国の主に中学・高校生を対象とし、「海」の素晴らしさを実感・体験できる教育システムを端緒として、それぞれが「海の宝」を探し、自発的に「海」を学ぶ機会に中高生を導く。

イベント内容

「海の宝アカデミックコンテスト」は、将来にわたって豊かな「海の宝」を引き継ぐために中高生の海への知的好奇心を育む目的で、日本財団「海と日本PROJECT」の一環として、北海道大学大学院水産科学院が2016年から開催しています。 第6回目のコンテストとなる今年も昨年同様にコロナ禍の影響を受け、コンテストのPRにつながる体験型イベントの多くが参加人数を大幅に制限、もしくはオンラインでの開催となりました。しかし、「海の魅力で社会の困難を乗り越えよう(海と日本2021)」と事業のテーマを掲げた通り、実りあるコンテスト開催のための最善の方法を模索しながら準備を進めました。今年もホームページ上での呼びかけの他、中学校高等学校へのチラシの配布、全国の水族館や科学館等にポスター掲示を依頼するなど、コンテストを広く紹介して関心を持ってもらえるように努めました。

募集期間の7月1日から9月21日に全国から「マリン・カルチャー部門」と「マリン・サイエンス部門」あわせて236件の応募がありました。これはコロナ禍以前の一昨年に迫る応募数でした。中高生からの応募作品は、個人での発表だけでなく、友人や兄弟とグループでの制作、学校のクラブ活動での数年にわたる研究の成果を発表するなど様々です。テーマや表現方法もバラエティーに富み、中高生の発想力の豊かさや研究と制作に取り組む熱意を感じました。

応募作品は、全国4ブロック(北海道・東北ブロック、関東・中部ブロック、近畿・中国ブロック、四国・九州・沖縄ブロック)に分けてまず書類審査を行い、11月6日に開催される頂上コンテスト(最終審査会)へ進出する16作品が決定しました。また、頂上コンテスト進出作品以外の応募作品の中からブロック優秀賞10作品、ブロック奨励賞46作品を選出しそれぞれ表彰されました。

海の宝アカデミックコンテスト2021の開催を告知した当初から、最終審査会である11月の頂上コンテストは函館でのリアル開催を目指し、ぎりぎりまで検討が重ねられました。しかし9月半ばに、頂上コンテストはオンラインで開催すると決定、発表しました。昨年同様オンラインでの開催にはなりましたが、全国の参加者と審査員を北海道大学大学院水産科学研究院からZOOMシステムで繋ぎ、応募作品のプレゼンテーション(5分間)と質疑応答(3分間)をライブで行うこととしました。

11月には会場の設営をし、配信システムに不備がないよう確認し、全国の参加者とのリハーサルを行いました。いよいよ迎えた頂上コンテストの当日、木村暢夫先生(北海道大学大学院水産科学研究院研究院長)の開会の挨拶から始まりました。作品発表はマリン・カルチャー部門9作品、休憩をはさんでマリン・サイエンス部門7作品の順番で行われました。各参加者は応募時に提出した8枚の電子紙芝居の内容をさらに練り上げて臨んでいました。その8枚のスライドを示しながら、熱のこもったプレゼンテーションを披露します。5分間の発表の後には3分間の質疑応答があり、大学や協力機関の専門家である審査員から作品についての質問が投げかけられました。全ての作品の発表は工夫が凝らされた充実した内容で、見応えがありました。また、審査員からの質問は、厳しい中にも若い世代への愛情と期待が感じられ、それに応えようとする参加者の一生懸命さが清々しく印象的でした。

プレゼンテーション

質疑応答

お昼休みをはさんで、午後からは結果発表と表彰式が行われました。
厳正なる審査の結果、マリン・カルチャー部門からは大賞1作品、おとひめ賞2作品、うらしま賞6作品が選出されました。また、マリン・サイエンス部門からは大賞1作品、りゅうぐうのつかい賞2作品、ちょうちんあんこう賞4作品が選出されました。
また、海洋関連の団体や機関からの特別賞として、「日本財団賞」「日本海洋科学振興財団オーシャン・アート賞」「千葉市科学館賞」「札幌市円山動物園賞」「海文堂出版・北水ブックス賞」「マリンイノベーション特別賞」「医食同源賞」「道南伝統食品協同組合賞」「函館の魚『イカ』賞」「北海道大学水産学部賞」が選出され表彰されました。

海の宝大賞、おとひめ賞、りゅうぐうのつかい賞の発表

特別賞各賞の発表

各部門の最優秀賞である大賞には、以下の2作品が選ばれました。

マリン・カルチャー部門 海の宝大賞

『環境破壊から海を救うためのメッセージ』 かえつ有明高等学校 熊倉友音さん

100年後の未来から今2021年に生きる私に向けて、海を故郷とする生き物から手紙が届くというストーリーを表現したイラストと文章は繊細さと力強さを併せ持ち、豊かな感性を感じました。また、朗読形式のプレゼンテーションにも魅了されました。

【受賞者の声】
この度は、このような素晴らしい賞を頂けて誠に光栄に存じます。
”私達は、地球温暖化を最初に経験する世代であり、この苦しみを食い止められる最期の世代でもあります" という言葉を受け、海を先の見えぬ未来に残すため、成すべきことを己に何度も問いかけました。その答えの意味を多くの方々へと繋げ、やがてはこの世界と向き合い、変わることが大事なのだと心に留めていただけると幸いです。
本当にありがとうございました。

マリン・サイエンス部門 海の宝大賞

『ネギボウズで海を救おう!!!』 愛媛県立松山南高等学校 ネギボウ’S

海洋汚染の原因の一つである汚染油をネギボウズを用いて除去できないかというテーマで、ネギボウズの給油性、吸水性についての実験を重ね、廃棄する乾燥ネギボウズを使って油を吸い上げ除去することが可能であるという結論を導きました。身近に存在するものへの鋭い観察力、豊かで柔軟な発想が高い評価を受けました。

【受賞者の声】
今回のコンテストに参加するにあたって、この研究を長い時間をかけ、班員と協力し先生方に沢山のアドバイスを頂きながら完成させました。愛情と誇りを持った研究が「海の宝アカデミックコンテスト2021 全国大会 -海と日本PROJECT-」という場で「海の宝大賞」と「海文堂出版・北水ブックス特別賞」という素晴らしい賞を頂けたこと、心より嬉しく思います。
 ネギボウズが球状で色んな場所に油を吸着できるように、私たち自身も多方面から様々なものを吸収して自分のものにして成長していきたいです。普段はなかなか機会のない他県の人や大学先生方等と交流のできる場を設けていただき本当にありがとうございました。

安井肇審査員代表による審査総評、そして川合祐史プログラム代表による閉会の挨拶の後、全員で写真撮影を行って、頂上コンテストは幕を閉じました。応募者へのアンケートでは、「文字だけでなくイラストや写真で表現できる」「ホームページで過去の受賞作品を見て参考にした」「貴重な経験になった」「専門家からのアドバイスを活かして今後も研究を続けたい」「海のついての知識を増やして発信できるような人間になりたい」といった声が寄せられました。頂上コンテスト参加者に向けて後日に専門家からのフィードバックが行われるなど、昨年より進化発展させる工夫をしました。
 「海の宝アカデミックコンテスト2021全国大会-海と日本PROJECT-」頂上コンテストはオンライン上ではありましたが、海の未来を担う中高生と海洋関連の専門家が全国から集う盛大な大会となりました。

(和田敦子)

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