終了レポート

「その“サーモン”どこからきたの?2021 ~海と日本PROJECT~」

日 程 :
10月2日(土)13:00~15:00
開催場所:
千歳市 サケのふるさと千歳水族館 2階学習室
参加者数:
22名
主 催 :
サケのふるさと千歳水族館
共 催 :
北海道大学大学院水産科学研究院
協 力 :
株式会社ダブリュ・コーポレーション/北々亭 千歳店
目 的 :
サケのふるさと千歳水族館は、北の「海の宝」の代表格である「サケ」を中心とした飼育・展示と「サケ」を通した教育活動を長期間に渡り実施してきています。本イベントでは、同水族館と北海道大学大学院水産科学研究院および回転寿司店を北海道内で展開している企業とが協力し、寿司ネタとしての「サーモン・サケ」に焦点を当て、座学、解剖、調理、試食といった五感で体験する食育により、「海の宝:サーモン・サケ」を理解してもらい次世代を担う若者に「海や水産」への興味や関心を高めてもらうことを目的としました。

イベント内容

 今回は5回目で、例年は7月に開催されていましたが、昨年と同様に新型コロナ感染拡大の影響で10月となりました。あいにく、「海の宝アカデミックコンテスト2021」への応募の呼び水とすることは時期的にかないませんでしたが、ちょうどシロザケ(サケ)の遡上の時期で、イベントの内容を考えるとよいタイミングでした。千歳水族館には、世界的にも珍しい、川底を観察できる窓が設置されており、海から戻ってきた産卵間近のサケを見ることができます。今回も感染防止のため、参加は個人ではなくグループ単位で8組までとしました。参加枠はすぐに埋まったとのことで、本イベントへの関心の高さが伺えました。直前にキャンセルのグループが出たものの、千歳水族館と交流のある北海道大学の学生グループが急遽参加してくれ、8組22名の参加となりました。このように、小学生・幼児を伴った家族連れのグループを主体としながらも大学生も加わった幅広い参加者となりました。イベントは3部構成となっており、サケにまつわるお話し、お寿司用サケ解体実演、およびお寿司握り体験と水族館バックヤードツアーでした。

 菊池基弘千歳水族館長の司会進行によりスタートし、まず、北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの報告者(清水宗敬・本事業実行委員)が、「北海道と世界の“サーモン”」というタイトルで話をしました。小学校低学年・幼児の皆さんが多かったので、写真や絵を使ったクイズに時間を取るようにしました。まず、サケ幼魚とイワシの写真を出してどちらがサケかを当ててもらいました。種は違えども両方とも銀色の体色なので少し迷っていたようでした。その後、北海道のサケ(シロザケ)とヨーロッパのサーモン(タイセイヨウサケ)の話をして、両者とも食べ物だけでなく文化的にも大事な魚であることを説明しました。そして、ノルウェーでサーモンの養殖が盛んなのはフィヨルドという地形が関係していることを話しました。また、サーモンの養殖いけすの大きさについてクイズを出し、ジャンボジェットが入ってしまうほど大きなものがあると説明すると皆びっくりしていました。最後に、養殖やふ化放流事業が抱えている野生魚の保護の問題を紹介し、まだ野生のサケがいる北海道の重要性を伝えました。質問タイムになると予想以上に沢山の手が挙がりました。特に、小学生低学年の子から養殖サーモンの食品としての安全性について質問があり、うれしい驚きでした。

 次に、北々亭を運営する株式会社ダブリュ・コーポレーションの高尾営業部長によるサーモンの解体実演が行われました。北々亭千歳店様に準備していただいたお寿司用サケ・サーモン(ノルウェー産タイセイヨウサケ、日高産シロザケ「銀聖」、チリ産トラウトサーモン、虎杖浜産ニジマス(森田養鱒場)およびロシア産イクラ)がずらりと並んだ横で、高尾営業部長による軽やかな説明と包丁さばきがあり、参加者はとても興味深そうに見学していました。

 そしていよいよ握り体験となりました。参加者の密集を避けるために、2組に分けて、もう一方は水族館のバックヤードツアーを先に体験しました。このあたりに千歳水族館の皆様の感染予防対策に対する工夫が表れていました。握り・巻きもの体験も握りブースと自動シャリ玉ロボットブースを準備し、密集を避けながらグループで体験してもらいました。北々亭のスタッフの方々もグループが変わる度に丁寧に指導されていました。試食会では、自分が握った・巻いたお寿司を味比べをしながら美味しそうにほおばっていました。バックヤードツアーでは、普段見ることのない大きな水槽の裏側や”生”の飼育現場および水族館を裏で支えるポンプ・機械系統を見学しました。こちらも、菊池館長の聞きやすくテンポのよい説明に、参加者は大きくうなずいていました。

 今回も感染対策を第一にし、人数を絞ってのイベント実施となりました。千歳水族館では、このような難しい状況下でも対面イベントをとても大事にしており、参加単位をグループ(普段から生活を共にしている家族が多い)とすることで感染リスクを軽減させるなど、ノウハウを蓄積しています。また、北々亭の皆様からも、多忙なスケジュールを何とか調整し、子供達に体験イベントを提供したいという想いが伝わってきました。このような想いと工夫で尽力してくださった、千歳水族館、北々亭の皆様に厚く感謝申し上げます。

サケについてのお話

寿司ネタの解体実演

お寿司のにぎり体験

千歳水族館バックヤードツアー

集合写真

(清水 宗敬)

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