終了レポート

「海と日本PROJECT バイオロギングで知る魚の行動」

日 程 :
8月27日(月)、28日(火)
開催場所:
かごしま水族館 1階 レクチャールーム
参加者数:
講演会31名 体験教室12名
主 催 :
かごしま水族館
共 催 :
北海道大学大学院水産科学研究院
目 的 :
自然下での行動や生態等の動物の知られざる行動を探る「バイオロギング」研究の最前線を体験することで海洋生物や海洋環境等「海」への興味や理解をより深める機会とする。

イベント内容

 「海の宝をめぐる学びと体験 マリン・ラーニング(海と日本2018)」プロジェクトでは、市民、高校生大学生等を対象とした、「海と日本PROJECT バイオロギングで知る魚の行動」を鹿児島市本港新町のかごしま水族館に於いて実施しました。

 イベントでは、講演会とバイオロギング体験教室の2つのプログラムを行いました。

① 講演会 開催日時 8月27日 12:00~13:20

 市民の方を対象に近年野生動物等で行われる「バイオロギング」研究について理解を深めてもらおうと、第一線で活躍するバイオロギング研究者による講演会を実施しました。最初に「バイオロギングって何だろう」との河邊先生から問いかけがあり、研究の意義や魅力について紹介いただき、講師の先生が取り組む研究についてお話しいただきました。

海の動物は実際に海の中でどんなふうに過ごしているかわからないのでその生態を知るための研究
「マンボウはなぜ海面で昼寝をするのか?」:長崎大学海洋未来イノベーション機構 環東シナ海環境資源研究センター 助教 中村 乙水 博士

個体の行動を詳細に追いかけて水産養殖における魚の管理に役立てる研究
「クロマグロの養殖生簀内の遊泳行動を詳細に計測する」:北海道大学大学院水産科学研究院 助教 米山 和良 博士

学問を発展させる研究
「水産重要魚種ヒラメの泳ぎ方(卵の産み方)を調べる」:長崎大学海洋未来イノベーション機構 環東シナ海環境資源研究センター 教授 河邊 玲 博士

 調査の行動記録計から得られたデータをもとに、海中を泳ぐ生物の姿勢や行動、遊泳速度、水深や水温などの生息環境について解説していただきました。それぞれの生物の水槽とは違った自然界でのダイナミックな行動に参加者も驚いていました。動物の行動や生息環境を詳細に知ることができる「バイオロギング」研究の面白さを知る良い機会になったようです。

会場入り口

講演会スタート

マンボウはなぜ海面で昼寝をするの?
長崎大学 中村先生

クロマグロの養殖生簀内の遊泳行動を詳細に計測する
北海道大学 米山先生

水産重要魚種ヒラメの泳ぎ方(卵の産み方)を調べる
長崎大学 河邊先生

未来の研究者 小学生や高校生からの質問もたくさん出ました

② 「バイオロギング体験教室」 開催日時 8月27日 14:00~17:00 28日 9:00~12:00

 体験教室では、3班に分かれ、バイオロギングの手法でウミガメの行動を探る実験を行いました。各班にウミガメ1匹と調査機材(映像記録計、行動記録計、装着資材)が配布されました。水族館の職員から、ウミガメの形態や生態の解説を聞いた後、班ごとにウミガメの行動を予想し何を調べるかを検討しました。講師の先生の指導を受け、参加者が記録計の設定や容器内を動きまわるウミガメに機器を取り付けました。

 直径2m水深1mの円形水槽にウミガメを泳がせて餌やりや行動観察を行い、1日目を終了しました。

 2日目(28日)は、ウミガメに取り付けた記録計を回収し、データの取り出しを行いました。

 映像記録計にはウミガメ目線の映像で、記録計を取り付ける参加者の顔や餌を食べる様子などがきれいに映し出され普段見ることのない映像に参加者は見入っていました。記録計の行動データと映像を合わせ、ウミガメの行動を記録したことで、普段からまわりをよく見ていることや個体ごとに個性ある動きすることがわかりバイオロギングならではの結果に感動をされていました。また、良い体験ができたことに喜んでいらっしゃいました。

1日目 8月27日

体験教室 講師紹介

ウミガメの形態と生態の解説

ウミガメを見ながら何を調べるか検討

動くウミガメをおとなしくさせて記録計の装着

ほかの班の装着状況を確認
水槽に入れこむ準備完了

どんな映像が撮れるかな?
ここまでが8月27日の様子

2日目 8月28日

記録計のデータ取り出し作業

データの解析 確認作業

ウミガメ目線の映像をチェック
餌を食べる様子も

映像に映し出された行動をすべて記録

各班映像をチェック

最後は、班ごとに結果、考察の発表

講師の先生と参加者で記念写真

アンケートの結果

 今後の講座開発の参考にするために、参加者にアンケートをお願いしました。その中から参加者の一部の感想を紹介します。

 参加者12名中10名から回答を得ました。

(1)情報入手
①新聞・テレビ・ラジオ…0名 ②ポスター・チラシ…0名 ③ホームページ…4名 ④知人・友人…5名 ⑤その他…1名
(2)感想
  • 幼い頃から魚が好きで魚のことに関して共感できた部分や初めて知ったこともあり良い経験になった。今後、経験をさらに活かし進路や将来の仕事で活躍したい。
  • ウミガメも普段まわりをよく見ていて、動き方もカメごとに個性があることが動画でよく分かった。
  • 実際バイオロギングをしてみて今後の活動に活かせそうだ。
  • どのような行動をしているかがよくわかり面白かった。人に反応する事とか、個体によって行動に違いが出ることがよく分かった。
  • 知れないようなことをたくさん知ることができた。
  • データとビデオを見比べて合っていた時が楽しかった。
  • データを使って研究するところにとても感動しました。たくさんのデータの中でふつうの所もたくさんあったけど、珍しいところを見ることができやって良かった。

(佐々木 章)

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