終了レポート

「陸に上がった北大練習船うしお丸を観察する 海と日本PROJECT」

日 程 :
8月10日(金)10:00~12:00、13:00~15:00
開催場所:
函館市国際水産・海洋総合研究センターおよび北海道大学水産学部附属練習船「うしお丸」
参加者数:
37名(保護者8名を含む)
主 催 :
北海道大学大学院水産科学研究院
目 的 :
北海道大学水産学部附属練習船「うしお丸」のドック作業を通じて、普段は目にすることのできない、船の海面下の構造を見てもらい、その構造や役割を学ぶことによって、次世代を担う若者に「海」への興味や関心を高めてもらう。

イベント内容

 「海の宝をめぐる学びと体験 マリン・ラーニング」プロジェクトでは、函館圏の高校・中学・小学高学年生を対象に、「陸に上がった北大練習船うしお丸を観察する 海と日本PROJECT」を函館市海洋総合研究センターおよび、その前岸壁に停泊中の「うしお丸」に於いて実施しました。このイベントは、6月22日に函館港函東工業に入渠した「北海道大学水産学部附属練習船うしお丸」のドック上架作業を通じて、普段は目にすることのできない海面下の構造を見てもらい、その構造や役割を説明し、簡単な実験やビデオ映像を通じて学ぶことによって、次世代を担う若者に「海」への興味や関心を高めてもらうことを目的に企画されました。

 プロジェクトでは、報道機関へのリリースのほか、函館圏の高等学校・中学校・小学校等の教育機関や児童組織へのチラシの配布や電話での案内を通じて参加者を募った結果、午前・午後を併せて40名近い参加者を得ての実施に至たりました。函館市内はもちろん、近隣の北斗市、七飯町、鹿部町などから、計29名(高校生2名・中学生5名・小学生22名)の参加者が得られました。

 イベントは以下のような流れで実施されました。海洋センターに集まって頂いた参加者を、参加者リストを確認しながら受け付けて、実施前アンケートを行いました。その後、センターのホールに集まって頂き、大西広二(おおにし・ひろじ)助教から、本イベントの趣旨説明や目的を紹介し、去る6月22日に撮影したうしお丸の上架作業の様子のビデオを上映しました。更に、ドック作業前と作業後(7月10日撮影)の違いを見せて、車の「車検」に当たる船の入渠作業についての紹介を行いました。その後、ドック作業で現れた海面下の特徴的な構造について説明し、簡単な実験などを通じて理解を促しました。具体的に紹介した物は、バルバス・バウ、スラスタ、ソナー・ドーム、ビルジ・キール、電蝕亜鉛、喫水線です。そのうち、ビルジ・キールに関しては、水槽にキールの有無が異なる2杯の模型船を浮かべて、横揺れ(ローリング)減衰の違いを確かめてもらいました。電蝕亜鉛に関しては、真っ新の電蝕板と腐食した電蝕板を見てもらい、その効果と重要性を認識してもらいました。喫水線に関しては、ゲージの見方と季節や海域によって異なる満載喫水線を紹介し、淡水・海水による浮力の違いを実際の海水塩分値に近い海水と淡水の水槽を用意して、浮力調整した浮(うき)を浮かべて実験を行いました。最後に、冬季大西洋水が最大密度を示すことを足掛かりに、海洋大循環の出発点となることを紹介し、地球をめぐる海洋への関心を高めました。その後、「海の宝アカデミックコンテスト2018」の内容説明に移り、昨年の受賞作品の紹介や各賞の紹介、今年から新設された「電子紙芝居mini」についてなど、応募方法や応募に当たっての注意事項などが詳しく説明されました。

 その後、参加者を2班に分け、1班はエントランスホール横の大水槽に展開した水中ドローン(水中カメラロボット)を、コントローラーを用いて操作し、水槽に隠れた魚を探したり、水槽内から自分たちを撮影したりして、水中のドローンの動きを観察・体験してもらいました。操作をマスターした参加者たちからは、『将来、「リュウグウノツカイ」を観察してみたい!』『誰も知らない、深海生物を発見したい!』などの声も聞かれ、子供たちの新しい技術への順応力の早さと海への関心の高まりに期待が寄せられました。

 残る1班は、「うしお丸」亀井佳彦(かめい・よしひこ)船長と飯田高大(いいだ・たかひろ)二等航海士の案内で、うしお丸の船内・船外の見学を行いました。船外からは、レクチャーで紹介された船体マークや喫水ゲージを確認しました。船内の船橋区画では操舵機・エンジンコントロール機器・レーダー機器などの説明が行われました。実際に舵を握ってもらい、舵輪を切る感覚から舵角が変わるタイミングのずれなどを体験し、操船の難しさなども実感できたようでした。デッキや観測機器室では、海洋観測に使われる機器類やイカ釣りロボットの紹介、ソナー画像の表示なども行われ、興味は尽きない様子でした。ドローン操作の班とうしお丸の見学班を入れ替えて実施し、すべてが終了したのちに、全員がうしお丸の前に集まって記念撮影を行いました。

 うしお丸船内での誘導と安全確認には、小野寺喜浩(おのでら・よしひろ)甲板次長、高野拓也(たかの・たくや)操機次長、水中ドローンの操作説明と安全確保には、水産学部4年生の阿久根光宣(あくね・みつのぶ)、樋口美暢(ひぐち・みのぶ)、会場の利用にあたっては、函館国際水産・海洋都市推進機構の申東煥(しん・どんふぁん)連携研究員主事のご協力を得た事を付記します。

集合写真(午前の部)

集合写真(午後の部)

大西助教による船体構造の説明や簡単な実験。アカデミックコンテストの内容説明の様子

亀井船長・飯田航海士による航海計器の説明と船内見学の様子

水中ドローンを操作する参加者の様子

水槽内の水中ドローンから撮影した参加者の様子

(大西 広二)

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