終了レポート

「函館空港・海の宝インフォメーション 海と日本PROJECT」

 北海道大学大学院水産科学研究院は、8月1日(火)~20日(日)の期間、函館空港1階到着ロビーにて、海藻の標本や漁具の展示イベント「函館空港・海の宝インフォメーション 海と日本PROJECT」を開催しました。このイベントは、今昔の昆布漁に係る展示を通じて、北海道内外からの来函者が、函館の昆布漁や昆布そのものへの理解を深め、函館近海が生み出す豊潤な「海の宝」に関心を持ってもらうことを目的としたものです。

函館空港到着ロビー前に、昆布や漁具が展示される

 会期中には、観光客や帰省客を中心に約25,000名が展示を鑑賞。昆布出荷額日本一の街「函館」について認識を深めていました。

 函館近海で採れる昆布は、平安時代から「宇賀の浦のひろめ(昆布)」と謳われ、続日本書紀にも登場しています。例えば、函館市南茅部地区は、古くより天皇家に納められる「献上昆布」の生産地として有名です。また、江戸時代には、交易船が蝦夷地から日本海や瀬戸内海、そして太平洋を行き交い、全国各地へ昆布を輸送しました。そして、昆布は日本だけではなく、琉球王国や清国へも運ばれ、各地で独自の昆布食文化が生まれました。

昆布漁の漁具「ねじり」の説明と昆布の標本

 昆布漁の漁法は大きく分けて、漁具に絡めて昆布をねじり採る方法と、根から昆布を切り取ってすくい採る方法があります。その漁法は、昔も今も概ね変わりありません。今回は、昆布を絡め採る漁具「ねじり」と、船で曳きながら昆布を採取する「曳き鈎」が展示されました。展示された漁具は現代のものですが、展示説明内には古来の道具のイラストや説明文が付されており、来場者が、漁具の進化や古来の昆布漁について理解を深めるのに役立っていました。また、今回展示された漁具の大半は、函館市志海苔町の漁師から借用したもので、現在ではあまり見られない漁具もあったこともあり、今回の展示は大変意義あるものとなりました。

 なお、昆布漁の漁具は、昆布の種類や産地、採取法によって名称が異なっており、昆布文化の奥深さを窺うことができます(参考:「北海道の漁業図鑑」http://www.hro.or.jp/list/fisheries/marine/o7u1kr000000019q.html)。

 今回、函館で採れる昆布については、「真昆布」と「ガゴメ昆布」の標本が展示されました。「真昆布」は、主には函館東部の海域に生育、肉厚で幅も広く、澄んだ甘味のあるダシが取れるため、関西の料理人には最高級の昆布として利用されています。

 一方、「ガゴメ昆布」は、主に函館の沿岸のみで生育・収穫できる珍しい昆布。表面に篭(かご)の目のような凸凹紋様があり、強いネバリが出るのが特徴です。少し前までは、あまり評価が高くなかったガゴメ昆布ですが、近年、機能性成分(例:「フコイダン」)が他の昆布と比べ豊富にあることがわかり、注目を集めています。

 このガゴメ昆布の機能性については、北海道大学水産学部と函館地域産業振興財団が中心となり、産学官連携による研究が進められており、食費や美容・健康に係る製品の素材として人気となっています。会場には、フコイダンの機能を活かした化粧品や曇り止め材が展示され、産業素材としての「ガゴメ昆布」の幅広さをアピールしていました。

昆布漁の漁具「曳き鈎」

カゴメ昆布を活用した製品の数々

 今回、展示された昆布の標本は完全に乾燥したものではなく、北海道大学水産学部が特殊な加工を施したもの。質感は「生」であるにも関わらず、腐敗しないこの標本からは、昆布の香りが漂っていました。夫婦で函館を訪れた大阪からの観光客は、「函館の昆布は、よく自宅で出汁をとるのに使っていますが、本物はやはり迫力がありますね」と話していました。また、里帰りの家族を迎えに来ていた函館の方は、「子供のときに見た磯舟やガラス玉があり、懐かしく見ていました。『函館の玄関口』に地元の歴史や産業を展示するのは、街のPRにとっていいですね」と語っていました。

空港到着口を出ると、「Kombu City HAKODATE」の看板に昆布漁の説明

観光客であふれる到着ロビーに、迫力ある「磯舟」

(齊藤 拓男)

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