コンテスト

海の宝アカデミックコンテスト2019 結果発表

 「海の宝アカデミックコンテスト2019 全国大会 -海と日本PROJECT-」の頂上コンテストが、11月16日(土)に北海道大学大学院水産科学研究院大講義室(函館市港町3-1-1)で開催されました。頂上コンテストでは、書類コンテストを通過した16作品のプレゼンテーションが行われました。審査員による厳正な審査の結果、以下に受賞作品をご紹介いたします。

 また、「ギャラリー」では「海の宝アカデミックコンテスト2019」の様子を掲載しておりますので、是非ご覧ください。

マリン・カルチャー部門
海の宝大賞(最優秀賞) アレクサンドロス大王、熱水世界に出会う。 若原 瞭(東京都立小金井北高等学校)
アレクサンドロス大王、熱水世界に出会う。 若原 瞭(東京都立小金井北高等学校) 紀元前4世紀後半に空前の大帝国を築いた、マケドニアのアレクサンドロス大王には、数々の伝説があります。ガラスの樽を使った人類初の海底探検もそのひとつ。その約2300年後、1977年に潜水艇アルビン号が、ガラパゴス沖の深海底で黒い煙を噴く熱水噴出孔を発見しました。はるかな時空を超えて、2つの物語がクロスします。——事故で深海に沈んでしまったアレクサンドロス大王。彼は未知なる世界で、何に出会うのでしょうか。
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おとひめ賞
函館市の魚「イカ」賞(特別賞)
サメってかわいい!! 南 優芽花(新潟県立新潟南高等学校)
サメってかわいい!! 南 優芽花(新潟県立新潟南高等学校) 『凶暴で人を襲う』というイメージをもたれることが多いサメですが、実際はちがう!サメとはこんな生き物なんだ!ということを世に知らしめる作品です。サメの実態や特徴はもちろん、サメとヒトのつながりについても記しました。一見すると「??」な組み合わせかもしれませんがヒトとサメ、そこにはたしかなつながりがあるのです。サメが海の宝?一体なぜ?これを見たら納得できるはず。彼らは海の宝として今日も世界中に分布しています。
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おとひめ賞 龍涎香 ~奇跡の香料の秘密~ 大阪府立生野高等学校
龍涎香 ~奇跡の香料の秘密~ 大阪府立生野高等学校 古くより高級な香料であった「龍涎香」。その正体は、マッコウクジラが食べたタコやイカのくちばしが腸内で結石となり、排泄されたもの。それが長い期間海を漂い、日光にさらされて酸化することで、すばらしい香りをもつ龍涎香ができあがります。海の宝「龍涎香」は、マッコウクジラの生命にかかっています。今回の作品作りを通して、海のもつ神秘的な力やクジラの未来について考えさせられました。
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うらしま賞
マリンイノベーション特別賞(特別賞)
『牛深ハイヤ』と『海』と『女たち』 熊本県立牛深高等学校
『牛深ハイヤ』と『海』と『女たち』 熊本県立牛深高等学校 私の地元には「牛深ハイヤ」という伝統芸能があります。幼いころから慣れ親しんだ祭りについて調べてみたところ、新たな発見がありました。歌と踊りの中に「豊かな海」と「女たち」が強く関係していました。「牛深ハイヤ」はただの伝統的な芸能ではなく、海に生きる人々と、男女の強く切ない想いを歌った物であることに注目し、「牛深ハイヤ」を紹介したいと思います。
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うらしま賞
ブラキストン海峡賞(特別賞)
海洋プラスチックごみをなくそう! 金森 天音(函館白百合学園中学校)
海洋プラスチックごみをなくそう! 金森 天音(函館白百合学園中学校) 海洋プラスチックごみがどのようにして発生するのか、世界の海がどれほど汚染されているのか、日本の環境省やWWFジャパン等のサイトから、私が何気なく出しているプラスチックごみが身近にある海を汚染している現状とそれらを改善する取り組みについて学んだことをまとめました。これを見て少しでも環境汚染に関心を持ち、プラスチックごみを減らしてもらいたいです。
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マリンスノー賞 私たちが考える海の宝『日本海』 山形県立鶴岡南高等学校
私たちが考える海の宝『日本海』 山形県立鶴岡南高等学校 私達の身近に位置する日本海は、私達が住む日本に多くの恩恵を授けてくれる。豊かな漁場としての姿、温暖な気候と共に、日本海側に降雪をもたらす造水機としての役割、日本に様々な思想、文化、技術を運び込む海運航路。そして、全海洋の1/10~1/20のスケールで循環する日本海固有水の変化が、私達に地球規模の環境変化を先駆けて教える、「炭鉱のカナリヤ」としての役割。私達が考える宝の海「海の宝」それが『日本海』なのです。
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マリンスノー賞 気持ち悪くないゴカイの捉え方 佐野 辰徳(徳島県立徳島科学技術高等学校)
気持ち悪くないゴカイの捉え方 佐野 辰徳(徳島県立徳島科学技術高等学校) ゴカイというのは多毛類の生物で気持ち悪い反面、血液が医療の場でとても役に立つことから海の宝だ。
紙芝居をするにあたってインパクトのあるものにしようと考えたときに一番気持ち悪いと考えられるゴカイを不意に調べたのがきっかけだった。
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マリン・サイエンス部門
海の宝大賞(最優秀賞) LEDライトの波長の違いを利用したサンゴの成長促進 平井 亮太(玉川学園高等部)
LEDライトの波長の違いを利用したサンゴの成長促進 平井 亮太(玉川学園高等部) サンゴの白化地域を再生させるため、LEDライトの波長の違いを利用してサンゴの成長を促進させる研究を行った。今回の研究からサンゴの成長は体内に含まれる褐虫藻の光合成産物に影響されていることが分かった。さらにサンゴは自ら緑色蛍光を放つことで褐虫藻を体内に取り込みやすくしていることが分かった。今回の研究を利用して移植用サンゴを効率的に増やしたい。そして白化からサンゴを再生させ美しいサンゴ礁の広がる海を守っていきたい。
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りゅうぐうのつかい賞
千葉市科学館賞(特別賞)
届け!大浦湾の貝の声~新基地建設の海に生きる沖縄の貝~ 上原 一路(沖縄県糸満市立糸満中学校)
届け!大浦湾の貝の声~新基地建設の海に生きる沖縄の貝~ 上原 一路(沖縄県糸満市立糸満中学校) 米軍普天間基地移設に伴う新基地建設埋め立て工事が辺野古・大浦湾で進んでいる。湾奥の瀬嵩浜で3年間に及ぶ打ち上げ貝の採集調査の結果、同定できたのは462種、そのうち50種が絶滅のおそれのある種だということがわかった。絶滅危惧Ⅰ類で沖縄では大浦湾でしか生息していないと思われるオガタザクラなども採取した。また、浜に打ち上がる貝殻が減っていることから、工事により潮流や湾の環境に影響を与えていることが考えられた。
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りゅうぐうのつかい賞 魚醤と塩に潜む危険~安心安全な食卓を守るために~ 福井県立若狭高等学校
魚醤と塩に潜む危険~安心安全な食卓を守るために~ 福井県立若狭高等学校 現在、深刻な問題となっているマイクロプラスティックは海洋汚染だけでなく水産食品にも影響を与えています。私たちは安心・安全な食卓を守りたいと考え、今回、世界各国の魚醤と天然塩に注目しました。本研究でいくつかのサンプルの中からマイクロプラスティックを検出したのです。どうすれば異物の混入を防ぐことができるのか、研究をふまえ、私たちが考えた異物の混入を防ぐ方法を提案したいと思います。
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ちょうちんあんこう賞
ブラキストン海峡賞(特別賞)
古代生物をモデルにした水中ロボットの製作 東京工業大学附属科学技術高等学校
古代生物をモデルにした水中ロボットの製作 東京工業大学附属科学技術高等学校 私たちは、地球温暖化による異常気象の原因となる環境の変化を海洋環境調査で予測することを目的に、古生物をモデルにした水中ロボットを製作した。製作した機体は潜水、潜航、浮上、遊泳、旋回の五つの基礎動作を行え、機体の推進時の滑空比を大きく持った省エネルギーな機体にすることができた。今後の発展として実際に海洋環境で水温を測り環境調査を行うことや古生物の遊泳方法等、外見以外の解明につなげることができる。
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ちょうちんあんこう賞 ヒラムシ新伝説 光を嫌うワケ! 吉永 優紀(国立広島大学附属高等学校)
ヒラムシ新伝説 光を嫌うワケ! 吉永 優紀(国立広島大学附属高等学校) プラナリアの仲間のヒラムシは光を避ける負の走行性である。しかし負の走行性は何が要因で引き起こされているのかは解明されていない。そこで僕は光の強弱を感じる眼点の数とヒラムシの体長に着目して明所から暗所までの移動時間を計測する実験を行い負の走行性に何か関連があるのか調べた。そして今問題になっているヒラムシによる広島の養殖カキ食害の防止策につなげられるものはないか考察することにした。
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ちょうちんあんこう賞
海文堂出版・北水ブックス賞(特別賞)
松名瀬干潟におけるウミニナ類の調査 三重中学校・三重高等学校
松名瀬干潟におけるウミニナ類の調査 三重中学校・三重高等学校 松名瀬干潟は私たちの地元にあり、干潟の典型と呼ばれる3種の干潟がそろっている貴重な環境であり、絶滅危惧種など多種多様な生物がそれぞれ環境に適応して生息している。私たちは、そこで9年前から調査を続けており、調査結果のデータから新たな疑問や仮説を得て、それを確かめるための研究も行ってきた。松名瀬干潟の多種多様な生物・貴重な環境は海の宝であり、これからも私たちはそれらを調べ、解き明かしていく。
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ほていうお賞 続・イカ看板物語サスペンス劇場~兄は何処へ~ 遺愛女子中学校・高等学校地学部
続・イカ看板物語サスペンス劇場~兄は何処へ~ 遺愛女子中学校・高等学校地学部 第1回「海の宝アカデミックコンテスト」に当時の高校3年生が応募した「イカ看板物語」の続編です。漁港の「弟の看板」が兄を語る形になっています。2015年以降埋まっていた看板は、2018年の冬、行方不明になってしまいました。2018年3月1日~2日の爆弾低気圧による嵐と高潮で、海へ去ったようです。最近は潮位が低いため砂浜も低く、突発的な潮位上昇のたびに砂浜はやせ細り、消滅の危機に直面しています。砂浜は海と陸をつなぐ海の宝です。
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ほていうお賞 海から川へ 川から海へ 干潟に広がる小さな世界を守りたい! 大石 歩樹(愛媛県松山市立三津浜中学校)
海から川へ 川から海へ 干潟に広がる小さな世界を守りたい! 大石 歩樹(愛媛県松山市立三津浜中学校) 粟井川河口干潟は、決して広い干潟ではないが、11種のカニ2万匹が生息し、渡り鳥などの多様な生き物と共存をしている場でもあった。しかし今夏、気象・人為的原因により個体数は激減した。干潟とそこに生息する底生生物は有機物を分解する浄化の役割を担っている。今後、さらに干潟が消失し、カニの生息数が減れば、有機物の分解が行われず、海の生態系も崩れていく原因となる。僕たち人は、この多様で貴重な干潟は絶対に守らなくてはならないと強く思う。
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ほていうお賞 海の宝は 波だ!! 北海道函館水産高等学校 模型工作部
海の宝は 波だ!! 北海道函館水産高等学校 模型工作部 海の波は、海洋の生物にとって無くてはならないものであるが、時には、災害を引き起こすものでもある。これからの地球環境を考えたとき温室効果ガスを出さない波の力で発電する波力発電が必要だと考え、装置を自作して海に浮かべてみた。今回用いた波力発電装置は、LEDを光らせる事ができ、波の力を電気に変換することを確認した。今後は、安定して電力を取り出す事、波に負けない耐久性をどのように持たせるかが課題である。
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海の宝アカデミックコンテスト2019
審査総評

審査員代表
海の宝アカデミックコンテスト2019・ブルーオーシャン活動に向けて(海と日本2019)
プログラム代表 安井 肇

 受賞された皆様、おめでとうございます。

 頂上コンテストへ参加された16チームは、各ブロックの最優秀です。高いレベルで非常に接戦でした。各ブロックから頂点のチームが来られているので、大変工夫を凝らされて、それぞれの海の宝を大事に、それから、問題意識をしっかりうけとめ行動されていて、素晴らしい発表で驚きました。全国のそれぞれの海に関わる中学・高校生の皆さんの頂点が集まったと思うような内容の濃い発表を聞き、大変感動しています。有難うございました。

 それぞれの賞にお渡しした賞旗にはこだわりがあり、「海の宝アカデミックコンテスト」のデザイン案を広島県呉市で大漁旗を染める名人の職人さんに作っていただきました。世界中で16本しかございません。また、海の宝大賞の他、各賞にアカデミックコンテストの思いを込めております。マリン・サイエンス部門「りゅうぐうのつかい賞」は、より良い海と人類の貢献のために、竜宮を行き来する遣いのイメージを込めました。「ちょうちんあんこう賞」は、ちょうちんあんこうが立派な魚で、堂々としていて美味しく、生態的にも個性があり面白いところから名付けました。「ほていうお賞」について、ほていうおは函館ではゴッコと呼ばれ、冬に産卵のために深海から浅いところにあがってくるユニークな姿と動きをする魚です。ユーモラスで皆に愛され美味しい魚から名付けました。また、マリン・カルチャー部門についても「おとひめ賞」は、乙姫のイメージ通りに竜宮城や魚介類のリーダーとして海を考える姿に与えられました。「うらしま賞」は時代を表し、自分の地元の海の問題をしっかり捉えて、様々な環境問題と未来や過去を考える姿に与えられました。「マリンスノー賞」は、北海道大学が約70年前のこと、潜水艇「くろしお号」によって海底を調査していたとき、潜水艇のライトに照らされて海の中の小さい有機物が雪のように見え、それを研究者はマリンスノーと呼びました。ロマンと科学を融合したところで、賞の名称としました。また、サプライズで、各自治体・教育機関・出版社・企業様より様々な特別賞を用意していただきました。函館の魚「イカ」賞、千葉市科学館賞、海文堂出版・北水ブックス賞、マリンイノベーション賞、ブラキストン海峡賞、それぞれ個性のある心温まる賞が参加チームに与えられ、とても感謝いたしております。

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