全国の中学生、高校生が、海をテーマに制作した8枚の電子紙芝居の内容を競い合う「海の宝アカデミックコンテスト2016」。11月13日(日)、函館市内にある五稜郭タワー1階アトリウムに、一次審査を通過した17校の中高生が集まり、審査員の前で作品をプレゼンテーション。最優秀賞の「海ぼうず大賞」(中学生)、「海の宝大賞」(高校生)を賭けて、熱戦をくりひろげました。
今年初めてとなるこのコンテストは、海洋国でありながら、海水浴客の著しい減少など海離れが進む若い世代に、海を身近に感じてもらい、好奇心を広げてもらうのが狙いです。その好奇心はやがて、漁業資源の減少、海洋環境汚染、温暖化による海洋環境の変化など、日本はもちろんのこと世界各国が頭を悩ませているさまざまな問題を解決していく原動力となるはずです。主催した北海道大学には、札幌農学校水産学科を前身とする水産学部があります。ここに集まっている研究者たちは、同時に教育者でもあり、これまで培ってきた英知を若者の育成に役立てたいという思いに突き動かされ、日本で初となる中高生を対象としたコンテストの開催へとつながりました。
コンテストに先立ち、この7月2日から11月13日まで、北海道(函館市、札幌市)、青森県(むつ市)、千葉県(千葉市)、静岡県(静岡市)、大阪府(大阪市)で、海に関連するイベントを開催。各地でおこなわれたイベントやコンテストの開催に際しては、大学や研究機関、民間企業などからのご協力をいただきました。コンテストの開催を発表したのは、6月29日。そして、募集締め切りは9月末。ポスター、チラシ、SNS、テレビ、新聞、学校の掲示板などを通じて告知し、全部で68作品が集まりました。
作品の中には、「ほお〜」と感心させられた高度な内容の作品、ユニークな視点とプロ並みのイラストの作品など、いずれ劣らぬ力作ばかり。そのなかから、安井肇北海道大学水産科学研究院長、海の宝をめぐる学びと体験 マリン・ラーニング(海でつながる)プログラム代表・木村暢夫同大教授をはじめ、22名の審査員による個別審査がおこなわれ、二次審査に進む17作品を選びました。
コンテスト前日に函館入りした一次審査通過者は、函館市地域交流まちづくりセンターで開催された「海の宝アカデミック会議2016」に出席。北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの宮下和士教授による講演「バイオロギングを使って海の宝を知る」に耳を傾け、さらに、水産・海洋コーディネーターや海のサポーターなどにより道南産の「海の宝」の開発品を試食。コンテストを翌日に控え、緊張した面持ちで宮下教授の講演を聞いていた出場者たちも、おいしい料理に笑顔をのぞかせ、本番の13日も余裕たっぷりで会場入りしました。
ジャカジャ〜〜ン、はたして、結果はいかに?
当初、出場者は全員、制服姿でしたが、本番を迎えると、作品のテーマにからむ魚のかぶり物を頭にのせたり、半被を着たりして登場する人もいれば、日本語と英語の2か国語で発表する人も。それぞれに個性を発揮した思いがけないパフォーマンスに、審査員の表情もホッコリ。審査では、アピール力、内容、聞き取りやすさ、表現力、質疑に対する応答の様子など5項目に対して評価。中学校の部では、札幌市立北辰中学校科学部チーム有孔虫の桂田美礼(かつらだ・みれい)さんと長山ゆい(ながやま・ゆい)さんによる「星砂と北海道〜海の星に魅せられて~」が「海ぼうず大賞」を受賞。高等学校の部では、大阪府立市岡高等学校の鎌田菜緒(かまた・なお)さんによる「メガマウスに聴いた海のおはなし〜戦後の日本を支えた海の宝〜」が「海の宝大賞」を受賞しました。